似非恋愛 +えせらぶ+
そんな理由で斗真のことを、また好きになるのは、嫌だった。
今の私は、斗真のことを利用している。
嫌な、汚い女なんだ。
自重しようと、私は決めた。
この決心が、自分自身を追いこむことになるとは思いもしていなかった。
* * *
それから数週間、私は斗真と連絡を取らなかった。斗真の方から連絡してくることもなかった。
真治も、あれから連絡してくることはなかった。それはきっと斗真のお蔭だ。
余計なことに心を揺さぶられることもなく、私は落ち着いて仕事ができていたと思う。
しかし、その状況に変化があったのは、みあ達が関わっている案件の関係者がうちの会社を訪ねてきたときだった。