似非恋愛 +えせらぶ+

 みあと島田、そして広報担当の木戸さんに続いて、うちの会社では見慣れぬ3人の男性が会議室に向かっている。その場に鉢合わせた。
 3人のうち、1人は斗真だった。そして、みあの友人だったはずの氷田君。あとの1人は見知らぬ顔だ。

 視界の隅に久しぶりに見た斗真の姿のせいで、私の心臓が掴まれたかのような衝撃を覚える。
 会社にプライベートを持ち込んでしまったような、なんともいえない背徳感を覚えた。

 近くの会議室で彼らが打ち合わせをしていると思うだけで気が気じゃなくなり、しばらく作業を続けたものの、完全に集中力が散ってしまった。

 ため息をついた私は飲み物を買おうと席を立った。

 そのタイミングが最悪だった。
 ちょうど打ち合わせが終わった斗真達と鉢合わせしてしまったのだ。
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