似非恋愛 +えせらぶ+

「おかしくなんか、ない」
『ふうん?』

 少し強がったことで、ぐちゃぐちゃしていた頭が少し醒めてきた。辺りを見回してみると、いつの間にか駅の近くに来ていたようだ。

『香璃、今何やってんの? 外だろ?』
「……ぶらぶらしてた」
『なんだそれ』

 ひとしきり笑った斗真が、ふと静かになる。

『なあ』

 そして、私達を戒める言葉を放った。

『慰めてくんねぇ?』












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