似非恋愛 +えせらぶ+
そんなことを考えながらぼんやりと斗真の後姿を目で追っていると、いい香りがしてきた。
途端に空腹が主張してきて、お腹から情けない音が鳴る。恥ずかしくなって俯いて、私はおとなしく待っていた。
「ほら、ほんと簡単だけど」
ほどなくして目の前に出されたのは、1人分のチャーハンだ。斗真は私の隣に座った。
「斗真は?」
「俺は食べた」
「そっか……わざわざ、ありがとう」
「おう」
私は遠慮しないでスプーンでチャーハンをすくった。そのまま口に運ぼうとして、私を見つめる視線に気づく。
「……見ないでよ、恥ずかしい」
文句を言うと、斗真は鼻で笑って私の腰に手を回した。私は肩をすくめてチャーハンを口に含んだ。