ちよちよみちよ



そりゃあ思春期になれば男と女は色々あるでしょうよ。そう言えば、みちよは昔から千代ちゃんみたいな娘が欲しいって言ってたっけな。千代とみちよは何かと気が合ってたっけ。特に僕をターゲットにするとすぐに団結しやがった。

「千代ちゃん、今、彼氏いるのかな」

「いるでしょ」

「だらしないなあ、あんたは」

「なんだそれ」

「報われないのね、可愛そうな息子」

「……」

やっぱりみちよには敵わない。
吊り上がった大きな目をこちらに向けながら、意味深に笑うみちよ。おでこにうっすらと皺が寄っている。

商店街を抜けるとすぐに僕達の家は見える。一階は『スナックみちよ』、二階が小さな住居になっている。その並びに千代の家もある。千代の家は小さな化粧品売り場をやっていて、そのためか母子揃って化粧が濃い。千代の母親、由美さんは、時々みちよの店を手伝ってくれる。
由美さんがみちよの店に出ている間、幼い僕達はよく同じ布団で寝た。千代の寝顔。千代の髪。千代の指。千代の千代の千代の……幼い僕は、隣で眠っている千代をよく観察したものだ。千代の甘酸っぱい香りも、その時に覚えた。


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