ちよちよみちよ
「最近ね、変なおじさんがうろついてるの。あのね、公園とこ。この暑いのに革パンはいてさあ、髭はやしてさあ、マジキモいの」
街灯のオレンジに照らされた千代がつぶらな瞳で僕を見ると、その中でオレンジ色がキラリと光って、まるでアイドルみたいに見えた。
「ふうん」
僕は千代の話もそっちのけでそれに見とれる。
「この間なんかね、砂場で山作って遊んでたのよ。いい大人が、マジキモいでしょ」
カツン、カツンと千代のヒールが音を立てる。
ああ、その細いヒールがいいね、僕の顔をそれで思いっきり踏んでくれないかな。って言うのはまあ嘘だけど。
「アタシの話、聞いてないでしょ。え、なに足みてんの? キモい」
ああまた、キモいキモいキモい。僕も砂場で遊ぶオヤジとおんなじってわけか。
「見てねえし」
見てたけど。
「だから毎日送ってよね。みちよさんにも言われてるでしょ?」
うん、確かに。
しかし、毎日送ってあげるからチューくらいさせてくんないかな。
「変なことしようとしたら、みちよさんに言いつけるから」
「しねえし」
したいけど。