ちよちよみちよ



しかし、こうして二人きりで歩くのなんて、いったいいつぶりだろう。高校に入ってからは一度もないんじゃないかな。
千代も家庭部という名の帰宅部だけれど、真っ直ぐに帰宅する僕とは違って、派手な連れと一緒に街へ出てくみたいだからな。帰り道に商店街でバッタリ会うこともないし。
ああ、今、千代の彼氏はどんなヤツなのかな。あの、よくつるんでる茶髪のヤツかな。名前なんだっけ。須田だか矢田だか矢野だか佐野だか……

「タケイチ、彼女できた?」

「え!?」

何だよ。急に振るなよ。びっくりするじゃないか。

「できるわけないか」

まったく、わかってるなら聞くなよ。みちよじゃあるまいし。

「千代は? 彼氏」

「今? いない」

おお! いないのか!?
僕にチャンス到来か!? 押し倒してもいいのか!?

「あ、ねえ、タケイチ。そういえばさあ、宏樹って、今、彼女いるのかな」

興奮冷めやらぬうちに、僕の淡すぎる期待は宏樹の名前であっさりバッサリと切り捨てられる。
そういえばも何も、お前が聞きたかったのはそれだけだろう。僕をダシにしやがって。


< 16 / 32 >

この作品をシェア

pagetop