ちよちよみちよ
「あ、疑ってる」
「いや、まあ、だって」
けれどもよく見ると、自動販売機の明かりに照らされたオヤジは、黒いTシャツを黒い革パンにイン、デカいバックルというロックテイストスタイルだ。ギタリストと言われれば、まあ、見えないこともない。
「まあ、そうだよね。僕、顔が地味だからギタリストに見えないし。でも本当だよ。イエロー·ハブのツヨシが喉痛めてやめるまで、僕、時々バックで弾いてたんだから」
あのツヨシのバックで!? おお! 本当だったらすげえや!
いや、待てよ。しかし、そんなギタリストがなんでこんなとこに? しかもなぜに砂場でトンネルを?
「僕、昔この辺に住んでてね。ここで、よく遊んだんだ。あ、煙草吸っていい? 君、この辺の子? あ、一緒に、やる? 砂遊び。楽しいよ」
目を細めて嬉しそうに喋りながら、オヤジは革パンのポケットから煙草とジッポを取り出した。カチンと音がすると、風に乗ってオイルの香りが漂う。
しかしマイペースなオヤジだな。ギタリストっていうのは本当なんだろうか。イエロー·ハブのことよく知ってるのかな。本当だったらみちよに自慢できるかも。