ちよちよみちよ



いや、まて。それにしても怪しすぎる。

「……砂遊びは別にいいです」

「あ、警戒してる」

そりゃするでしょ。

「そっか。じゃあ、ありがとう、ペットボトル。これで思う存分、水が汲めるよ。僕ね、たまにここで遊んでるから、君、音楽の事、聞きたかったらまたおいでよ。ギター弾いてあげてもいいよ。今ね、もう、仕事ないんだ僕」

そう言ってオヤジは、煙草の煙をモワワと吐きながら僕に手を振った。
僕は一応ペコリとお辞儀をし、今度こそペダルを踏む。肩にぶら下がったままのイヤホンを耳に捻り込んだ。
なんだよ。ペットボトルが欲しいんだったら、僕がゴミ箱に捨てるまで待ってればいいじゃないか。あれだな、寂しかったんだろう。大人のクセに砂場で遊んでるくらいだからな。
しかし、イヤホンから漏れるリズムだけでよくイエロー·ハブだってわかったな。ギタリストだって話、本当だったりして。もしそうだとしたら、また会いたいな。ギターも弾いてもらいたいし。
しかし、この曲のギターソロはマジでかっこいいな。このギターソロをあんな気の弱そうなオヤジが? ははは、まさかまさか。


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