ちよちよみちよ



「ま、マジすか」

あのイエロー·ハブのバックギタリストってのは本当だったのか。

「本当だよ」

疑ってごめんなさい。

「僕、他にバンドやってたんだけどね。ツヨシ、歌はいいんだけど、あんまりギターは得意じゃなくてね。売れる前から、僕、ツヨシとは知り合いだったから、頼まれてさ。アイツ、性格が我儘だから、他のギタリストとは、なかなかうまくいかなくてね。結局、僕のバンドは解散しちゃったし、イエロー·ハブもね、早かったよね、解散するの。それからはチビチビ色んなとこで弾かせてもらってたけど、バンド色が強すぎたから、僕、拾ってもらえるところがなくてさ」

オヤジ……もとい幸一さんは、聞いてもいないのに勝手に身の上話を始めて、一人でしんみりしてしまった。肩を落とす姿はますます老犬に似ている。

「君は? 名前」

「僕は、タケイチです」

今更だが、僕の本当の名前はタケハジメ(武一)という。けれど、僕を『ハジメ』と呼ぶのは、みちよと死んだばあちゃんだけだ。後はみんな『タケイチ』。担任のチビ猫ギョロリでさえそう呼ぶ。


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