ちよちよみちよ
そうだ、いつか僕にだってそんな日が来るのかもしれない。下僕の下剋上だ。のし上がってやる。サワヤカボーイだけが千代のワンダーランドを占領するなんて許せない。僕にだってきっとチャンスはある。サワヤカボーイのようにかっこよく前髪は掻き上げられないけれど、代わりにこの形のいい頭蓋骨を千代の柔らかい手の平で撫でてもらおうではないか。
しがみついて食い下がって、いつかは千代の柔らかい唇をおおおおむははははあああ!
「う……えっ、ゲホッゴホッ」
鼻の穴を膨らませていたせいか、幸一さんの煙草の煙をもろに吸い込んで我に返った。
公園の砂場に男二人しゃがみ込んで、いったい何をやってるんだろう。夜風も乾いて、なんだか涼しくなってきた。
「あ、ごめんね、煙草」
「や、煙草には、僕、わりと慣れてますから」
みちよがヘビースモーカーだからね。店の方はいつもモクモクだし。
「まさか、吸ってる?」
「いえ、母が。それから母の店も、いつも煙草で……」
「店?」
「あ、そこ、曲がったとこ、看板ありますよね。スナックみちよ、あれ、ウチです」