とある神官の話




 意識を集中させる。そんな大きな力は必要ない。

 殴り合いをしている二人が吹っ飛んだ。壁に背を預け、ずるずると落ちていく男たち。唖然としてみるまわりの人々。

 そして小さく「凄いですね」という声。





「さ、続きをどうぞ」

「は?」





 止められると思ったのだろう。男たちはそろってこちらを見上げた。

 何があってこうなったのか。そんな理由は今聞いても意味がない。二人とも冷静じゃないし、酒が入っている。なら、「見てますからどうぞ?」





「え、あの」

「やらないんですか?こんなにまでしておいて?」





 男たちは辺りを見渡す。

 そこには転がった果物や野菜、樽。その他ごみ。仁王立ちして男たちの前に立つと、私は思いっきり笑った。





「片付け、して下さいね?」





  * * *



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