とある神官の話




 約二十年前。

 当時、神官の中でもかなりの実力者がいた。その者は多くの人に慕われていたし、その者に関して誰も疑いなど持っていなかった。

 ―――――しかし。

 当時のことはあまり覚えていないゆえ、後からの学びによって知ったのは残酷な事件たちである。
 その犯人が、"彼"だった。




 アガレス・リッヒィンデル。





 歴代の中でも上位にあたる神官だった男。多数の神官を殺害し、姿を消した人物。

 半世紀近く前に壊滅したとされる組織が復活しているのではないか。ここ数年で囁かれているそれのトップが、アガレス・リッヒィンデルではないかと。




「私は一度、彼と話したことがある」





 二十年ほど前なら、キースは十代そこそこか。
 彼の目には哀愁に似たものが見えた「今でも」




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