とある神官の話




「追っ掛けまわされていたんですよ」

「今までずっと?」




 驚いた私に、頷く。
 私がみた"あれ"がその、三番目の人形なら、やや厳しい。普通の神官……戦闘の経験のない者や、能力持ちでない者ならば些か厳しいかもしれない。
 私はハイネンと共に逃げたために"あれ"とは戦っていない。だが、証言には"ひびが入った"とあるのなら―――――。


 あまり、時間がないのではないか。





「だが」

「吸血といって連想されるのは、ヴァンパイアでしょう?」




 ハイネンは続ける。




「呼びだされてさ迷った魂は、太陽に呪われた種族だと私に言いました。つまり、私と同族であり、"ヴァンパイア"と言わないことから古い魂でしょうね」

「太陽に……」





 今のヴァンパイアは、苦手らしいが太陽の下を歩ける。ハイネンが包帯だらけだったのもそれが原因らしい。
 昔はヴァンパイアは吸血鬼、または"太陽に呪われた者"などとも言われていた。

 愁いを帯びた目がふせられる「彼はどうやら、人を探しているようで」





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