とある神官の話





 人形で脆いとはいえ、影となって追いかけられる力があるならば油断は出来ない。彼がハイネンを狙うなら、すぐにでも姿を見せるだろう。

 今夜はともかく、明日以降に決着をつけなくてはならない。
 こちらはともかく、向こうの"器"は破損していて、時間がないとも言える。襲撃してこないとは言いきれない。


 今夜は変わりで見張りをする。そう言ったのはランジットだが、私には先に眠るように言った。理由はたんに「疲れただろう、いろいろと」ということで。
 取っていた宿の部屋をかえ、広い部屋にしてある。私は言葉に甘えることにして部屋へときえた。





「おやすみなさい」

「ああ」

「良い夢を」





 今頃あの人は何をしてるのか。

 うっかりゼノンのことを思い出してしまった私は、振り切るように早々と眠りについた。





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