とある神官の話
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「それで? 」
シエナが消えた後。部屋には俺とミイラ男―――もといヨウカハイネン―――長いのでハイネンが残っていた。
襲撃されないようにあちこちに術をかけているため、滅多なことはないと思うが念のためだ。
二杯目の紅茶を飲むハイネンに「他にもあるんだろう?」と俺は続けた。
「聖都でどうやら、禁書が持ち出されていたようです」
「はぁ!?」
思わず腰を浮かした俺は、ハイネンのにやつく視線に恥じるように腰を戻す。
宿の電話で話していた相手、キース・ブランシェ枢機卿からの情報なので間違いないだろう。ハイネンはそう言った。
その禁書がいつから擬装されていたのかわからないからたちが悪い。俺から言わせてみれば、お前ら神官だろうが!と思うわけで。ああいった禁書管理は能力持ちの神官や枢機卿が管理しているはずなのだ。くそじじいどもめ。
憤る俺をよそに、いつもながらにして飄飄としているハイネンが「いつか叩き潰せばいいんから」と笑顔で言った。何というか、俺の二倍三倍生きているだけあって、底冷えするような恐怖を感じる。
――――敵に回すことなかれ。