とある神官の話
「ハナタレエドゥアールが教皇となってから、また随分平和になったものですがねえ。まだ鼠がうろついている」
「……」
"あの"教皇をハナタレ呼ばわりできるのが凄い。生きている年数が違うとまあ不思議だ。
そういえば、と俺は思い出す。
エドガー・ジャンネスと同じく、彼もまた何故"神官"のままなのか。ジャンネスは「上は面倒」などと言っていたが、ハイネンは何故?「気になりますか?」
見透かされているような気がした。
「私は"知りたくて"神官のままでいるんですよ」
「それはどういうことだ?」
「――――真実と言われたものが真実だとは限らぬ」
ふっと目を細めた。
黙っていれば、さすがヴァンパイアだけのことはある。ぞっとするほど美形だ「とか言うじゃないですか」が、もう喋るなお前、と言いたい。
ゼノンといいハイネンといい、シエナがろくな人がいない!と嘆くのも頷けた。はっきりいって、ゼノンもわからないがハイネンのほうはもっとわからない。