とある神官の話




「詐欺だ」

「同感」





 夕方というには些か暗い。季節が秋なのだから普通なのかも知れないが。
 ミノアの町の中央からやや外れた場所。他の神官を配備させたのち、囮でもあるハイネンがそこにいた。

 びしっときめた"それ"は、貴族か何かに見える。黒に近い青の髪に、外套。神官服ではない。ランジットいわく、ハイネンはあまり着ないそうだ。 ランジットもまたあまり着ないそうで、実用的な格好で見ることが多い。今は黒のボディースーツ(外套がややくたびれた)に剣がさげられている。


 喋らなければハイネンは美形という単語で終わだろう。だがそれで終わらないのがゼノンやハイネンといった人たちである。
 美形"だけど"、変人。




「さて」

「本当に大丈夫か?」




 心配げな声を上げたランジット。



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