とある神官の話
身嗜みをととのえるようにすると、地面を蹴り上げて、跳んだ。華麗に屋根上に着地したハイネンを見上げる「おい!」
「大丈夫ですよ」
そう言ったきり、次々と屋根を飛び越え消えたハイネン。相変わらず凄い身体能力だと私も見送る。
彼を執拗に追いかけていたなら、また来る。ならばとハイネンがおびき寄せるために出たのだ。
開けた場所に神官を配置し、ランジットと私も控えた。
そんな簡単にいくだろうか。
私は護身用の剣の感触を確かめながら、静かな道の端に身を寄せていた。
向かいにはランジットが控えている。空は既に真っ暗で、淡い街灯の光だけか見えた。
大丈夫。大丈夫だ。
軽い護身程度の剣術は習っていた。が、自信はない。故に戦闘となると後方支援が多くなる。今回もそうなるだろう。
幸い、腕のたつランジットがいる。そのほかの神官も数は少ないがそこそこあるようだ。私は今のところ確認出来る神官から目を離し、上空の闇を見た。