とある神官の話
そうなのだ。
神官となってから、この男と関わることが多い。いや、向こうが勝手に絡んで来ているのである。理由、不明。
局の中では暗黙的に知られているらしい。暗黙的というのは多分、ロマノフ局長を唯一仕事させられるゼノンを恐れて、ということか。
高位神官であるゼノンならばいくらでも女の子はいるだろうに。意味がわからない「いつになったら名前で呼んでくれるんですか」無視だ無視。私はサンドイッチを食べていく。
勝手に横からサンドイッチを掻っ攫い、優雅に食べるゼノン。それ私のです!と言ったら、「じゃあお礼に今度出かけましょう」などと言い兼ねないので我慢。忍耐力を鍛える試練だと思えばいい。
皆が知っている、または思っているだろう彼は若きエリート。しかも美形。出世街道まっしぐらの神官。が、きっと騙されているに違いない。
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