とある神官の話






「おーおー、怖いねえ」




 聖都にいる枢機卿の会議に、俺は御簾の奥で頬杖をついていた。

 禁書紛失の件もあり、そしてミノアからの連絡により知った、指名手配犯のヤヒアの登場による会議だ。さっきから白熱した言い争いをしているのを見ているのだが、あれはまるで子供の喧嘩だ。いいや、子供の喧嘩より悪い。

 俺から見える範囲に、キースがいた。一瞬こちらを睨んでいたように思えたが、無視だ無視「猊下!」






「猊下はどうお考えに?」

「何かおっしゃって下さいませ、猊下!」




 御簾を下ろしたままなのは、顔色伺いをされたくないから。
 溜息まじりにさてどうするか、と俺は迷う。






< 145 / 796 >

この作品をシェア

pagetop