とある神官の話
「おーおー、怖いねえ」
聖都にいる枢機卿の会議に、俺は御簾の奥で頬杖をついていた。
禁書紛失の件もあり、そしてミノアからの連絡により知った、指名手配犯のヤヒアの登場による会議だ。さっきから白熱した言い争いをしているのを見ているのだが、あれはまるで子供の喧嘩だ。いいや、子供の喧嘩より悪い。
俺から見える範囲に、キースがいた。一瞬こちらを睨んでいたように思えたが、無視だ無視「猊下!」
「猊下はどうお考えに?」
「何かおっしゃって下さいませ、猊下!」
御簾を下ろしたままなのは、顔色伺いをされたくないから。
溜息まじりにさてどうするか、と俺は迷う。