とある神官の話
* * *
冷たい。
全身が怠かった。何が起こった?と体を動かそうとして、刺すような痛みを覚えた。呼吸が出来なくなる。
今自分は何処にいるのか。自分は誰だ?思い出せ。思いださなくてはならない。何故?わからない。
「……どういうことだ?」
誰の声だ?
うっすら目を開けると、それが男だということがわかった。中年の男だ。白髪まじりの髪。鋭い視線がこちらを見ていた。
もう一人は、赤い髪。若い。険しい顔をする中年をよそに「そう怒らないでよ」と言った。中年が赤を睨む。
「あれだけ雪が降っていれば発動できぬ!」
「別に大したことないよ。ちゃんと発動できる。けど」
「けど、なんだ」
「"彼"も連れてきてよ。もともと二人セットみたいなものだし」