とある神官の話



  * * *




 冷たい。

 全身が怠かった。何が起こった?と体を動かそうとして、刺すような痛みを覚えた。呼吸が出来なくなる。
 今自分は何処にいるのか。自分は誰だ?思い出せ。思いださなくてはならない。何故?わからない。




「……どういうことだ?」




 誰の声だ?
 うっすら目を開けると、それが男だということがわかった。中年の男だ。白髪まじりの髪。鋭い視線がこちらを見ていた。
 もう一人は、赤い髪。若い。険しい顔をする中年をよそに「そう怒らないでよ」と言った。中年が赤を睨む。





「あれだけ雪が降っていれば発動できぬ!」

「別に大したことないよ。ちゃんと発動できる。けど」

「けど、なんだ」

「"彼"も連れてきてよ。もともと二人セットみたいなものだし」




< 162 / 796 >

この作品をシェア

pagetop