とある神官の話
「駅に出るときたまたま会って見送っ―――――」
「……」
この野郎。人が会いたくてうずうずしている中で!
殺意をのせて睨む。「ひぃ!」というランジットを無視すると、奥でムブラスキが見えた。
青みがかった銀髪が揺れる。視線は空を見つめていた。空は曇っていて、また雪が降りそうな天気だった。それ以外何もない。どうかしたのか。「なあ」
私はランジットの声でそちらに意識を持っていく。
「能力者ならよ、何でこの時期に雪なんだろうな」
天気を操る、といっても限られた範囲だけであるが、そういった能力を持つものもいる。私もこの天気は異能持ちの仕業かと考えた。が、理由が浮かばない。
雪を降らせなくてはならない理由でもあったのか?もうすぐ降るのに。
村人の子供が、賑やかな声を上げて雪玉を投げあう。雪掻きをやめて「こら、家に入ってろ」と言うのは親だろうか。
渋々家に入ろうとする子供に、親が待てと声をかける。すると――――。入口近くの棒が立っている近くに手を突っ込んだ。何だ?と言うランジットとともに見つめていると、親は雪の中から瓶を出した。瓶?