とある神官の話
「ワ、ワタシは、む、ムスメのた……メにし、しぬわけにハ、イカヌ、のだ!」
血を流しながら、獣人は咆哮。血を撒き散らしながら、術を発動させようと――――――ー。
だが。
「あ……」
それは沸き上がるように出た。凍てつく風と、舞う雪とともに。
クリスタルのような透明度だ。それに獣人は一気に包まれる。一種の芸術のように見えたそれは一瞬に砕け、命を奪った。血を撒き散らして倒れた獣人は、姿が戻らないままでそこに倒れる。
変わりに立っていたのは、白をベースにし、毛皮のような帽子を被った男。帽子からもれるのは銀髪。口元には僅かながら殴られたような痣を見せ、手を下ろす。
「一丁あがり、っていう感じか?」