とある神官の話





「あまり時間がないようです」

「時間?」

「指名手配犯の連中が動きを活発にさせています」

「……確かに良くないな」




 ミノアの件。それからノータムのこと。それらを軽く話したとき、扉が叩かれた。どうやら時間らしい。
 考え込むようなそぶりを見せるラッセル。「いいか」

 腰掛けたままのラッセルが、真面目な顔を向けた。





「奴らの――あいつの狙いは聖都だぞ。忘れるな」

「ええ」





 わかっている。

 だが何故ラッセルか念をおすように言ったのか。私はまだわからなかった。





   * * *




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