とある神官の話







 闇。
 人々が寝静まった時間。



 暗い道の影が揺らめく。人だ。人の影だ。その影はふらりふらりと揺れ動く。

 頭からすっぽり闇色のローブを纏うその影。フードから覗く横顔は女性。顔色が悪く、唇が動いている。かつん、とヒールの音が響いた。






「わたしの………」

「わたしの、子供……は?」






 女は歩く。女はさ迷う。

 女の姿は、女の呟きとともに闇の中へと消えていった。








* * *



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