とある神官の話






  ―――――化け物。



 ちらついた"それ"に、動揺。急に立ち止まった私に門にいた神官の視線が刺さる。が、再び顔をあげて出ていく。



「飾りつけしたんですね」

「ええ。この時期ですからね」




 あの私当ての贈り物は既にブエナの手に渡り、そして子供達に渡っている。念のため中身を確認したが、害のあるものはなかった。
 どうす使わないで捨てることになるなら、使ってもらったほうがいい。ブエナはや深くいわずに受け取ってくれたから良かった。
 施設の内部にはツリーが飾られていた。壁には子供達が作成したであろう絵。

 罪な男だねえと言うブエナは、私にコーヒーを出してくれた「何故?」





「何故って、エルドレイスさんならモテるでしょう。でも見向きもしない」




 みてくれがそれなりに良いのはわかっている。だが、それだけだ。
 誰も中身など見ていない。





「私は、彼女だけですから」

「シエナですか?ああそういえばこの前、イケメンと歩いてたねぇ……」

「……どんな人です?」





 うっかりコーヒーをむせそうになった。危ない。
 ブエナがそうだねえと少し考え、話した人物像は心当たりがあった。間違いないだろう。ハイネンだ。

 あの野郎。

 見た目に騙されることなかれ。見た目は好青年だが中身は変人だ。とブエナに言えるわけがなく。渇いた笑みを返すだけにした。
 コーヒーのおかわりをもらう「ここの子供達は幸せですね」
 ブエナの視線がこちらに戻る。






< 185 / 796 >

この作品をシェア

pagetop