とある神官の話
―――――化け物。
ちらついた"それ"に、動揺。急に立ち止まった私に門にいた神官の視線が刺さる。が、再び顔をあげて出ていく。
「飾りつけしたんですね」
「ええ。この時期ですからね」
あの私当ての贈り物は既にブエナの手に渡り、そして子供達に渡っている。念のため中身を確認したが、害のあるものはなかった。
どうす使わないで捨てることになるなら、使ってもらったほうがいい。ブエナはや深くいわずに受け取ってくれたから良かった。
施設の内部にはツリーが飾られていた。壁には子供達が作成したであろう絵。
罪な男だねえと言うブエナは、私にコーヒーを出してくれた「何故?」
「何故って、エルドレイスさんならモテるでしょう。でも見向きもしない」
みてくれがそれなりに良いのはわかっている。だが、それだけだ。
誰も中身など見ていない。
「私は、彼女だけですから」
「シエナですか?ああそういえばこの前、イケメンと歩いてたねぇ……」
「……どんな人です?」
うっかりコーヒーをむせそうになった。危ない。
ブエナがそうだねえと少し考え、話した人物像は心当たりがあった。間違いないだろう。ハイネンだ。
あの野郎。
見た目に騙されることなかれ。見た目は好青年だが中身は変人だ。とブエナに言えるわけがなく。渇いた笑みを返すだけにした。
コーヒーのおかわりをもらう「ここの子供達は幸せですね」
ブエナの視線がこちらに戻る。