とある神官の話
「血の繋がりはなくとも、本当の家族のように、暖かい」
孤児院の全てが、こんな暖かいものではないことは知っている。親を亡くした、親を知らない子供は、暖かさを求める。誰かに求められたいし、求めたい。愛されたい。
何か勘ずいたブエナに、少々迷った。別に隠しているわけじない。
「私は捨てられたので、そういうのは少々羨ましく思うんです」
「そう、だったんですか」
「生みの親が死に、縁戚に引き取られたんです。ですが結果として捨てられ、拾われ、今に至る」
――――お前は化け物だ。
――――近寄るな!
あれは、地獄だった。
物心ついたときにはすでに、生みの親の縁戚の家だった。自分のほかに子供がいて、私を殴った。死ぬかと思ったし、死んだほうが良いとまで思った。
だから、捨てられた時に安堵した。自由だと。殴られずに済むと。