とある神官の話
「縁戚の方々が今どうしているのか知りませんが、その後は結構幸せに過ごしていますから。そんな顔をせず」
「いつでも来てくださいよ」
「?」
「エルドレイスさんはもうここの一員みたいなものでしょう」
だからさ、と言うブエナ。ちょうどその時、ひょっこり顔をだしたジョゼッタとカイムが「まだお話し中?」と言う。
密かにむずがゆさを覚えた私をよそに、ブエナが「終わったよ」と告げた。すると雪崩が起きたように部屋に入り、私の側にきて「神官のお兄ちゃんあそぼ!」と引っ張っていこうとする。意外に強い力だ。
賑やかな声に揉まれながらも、私は昔のように不愉快ではなかった。
私は、変わったのだろうか。
火花が散った。
それと同時に襲ってくる痛みに、声が出ない。出せない。体が動かせないまま頭上から「目障りなんだよ」という声。耳障りだった。目障りならば近寄らなければいいのに。見上げれば「なに見てんだよ」と蹴りが入った。
ああ。
あれは昔の自分か。
第三者のようにみえるそれから、夢だと認識。目が覚めるかと思ったらそうじゃなかった。目覚めず、昔の幼い自分かそのまま転がっていたし、気が済んだらしい、歳の変わらない子供は去った。
どうして。
唇が動いた。どうして。どうして。