とある神官の話
みんな敵だ。薄汚れた子供。あれは私。痣や傷だらけのみすぼらしい私だ。異能を持った私を化け物と呼び、閉じ込める。苦しい。
諦めていた。自分は誰からも愛されないと。ならどうして私は生きているのか。生みの親は私を愛していたのだろうかと、その小さな私は思う。返してくれる言葉などない。あるのは暴力のみ。
「運が悪ければ野垂れ死に。よければ生き残るだろうさ」
高笑い。大人。汚い。
置き去りにされた私は、去っていった大人を見た。捨てられた、と理解していた。いいや、私が捨ててやったんだ。ざまあみろ。私は嫌いだ。死ねばいい。
私を捨てたあの人たちが、小さな村が、一面炎と、鮮血を撒き散らして死んだ。
凍てつく、冬のことだった。