とある神官の話





「汗水垂らして現場を解決したことがない方にはわからないでしょう」

「暴言だ!」

「黙れ外野」

「なっ」




 飛び交う言葉が無くなり再び室内が静まる。

 キースははっと我に返った。まずい。頭に血が上った、と恥じた。後でフォンエルズにいろいろと言われそうだ、と苦い顔をした。

 誰だって神官だった時代がある。キースも若くして枢機卿となったが、なるべく動くようにはしているのだ。それはフォンエルズも同じである。




「まあまあ。落ち着きなされ。次に移ろうではないか。どっちにしろ今の話は猊下がいらっしゃらなければ進まぬよ」

「ええ」




 一人の神官が、まともなことを言った。それによってこの険悪な雰囲気が終わり、次にいくことになったが。

 ふとキースはぞわり、と背筋が寒くなった。何だ、と眉をひそめる。風邪か?何か嫌な予感がした。
 キースは隣にいるフォンエルズを見た。だが彼はすでに次の話に耳を傾けていた。



「次は―――――」





  * * *




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