とある神官の話
外は吹雪となっていた。
「今、なんて」
外套に雪を付着させ、息があがったままのランジットがそこにいた。ついさっき、孤児院に「ゼノンはいるか!?」と入ってきたのだった。
傍で同じく聞いていたシエナもまた「えっ」と声を震わせる。
どういうことか。
ヤヒアが出て。ヒューズ副局長が死んだ?何故。どうして。真っ白になった。真っ白だ。
咳込んだ私に、ランジットか「風邪かよ」と言う。
「それで」
「大混乱中だぜ」
ノーリッシュブルグにいる枢機卿、ミスラ・フォンエルズが聖都にきて、キースとともに会議に出ていた。
その途中にセオドラ・ヒューズが死亡したと報告があったという。
死ぬ直前に発動させた術の一部がまだ謎のまま。聖都への連絡の他に何か―――。
熱のせいで頭が働かない。
「で、問題なのがヤヒアが姿を変えていたことだ。しかも"あの"ラッセル・ファムランに」
「ヤヒアにはそんな力はなかったはずですよね?……なるほど。そうか」
「他にもいる、かもっていう?」
「ああ。ロマノフ局長が出てるし、聖都のあちこちで調査されているよ」