とある神官の話
「強い人の傍にいる者は、強い人が堪えている力の何倍も負担がかかる」
何も力の強いだとか、そういう意味の"強さ"以外の強さがある。
「―――支える側のほうが辛くなってくるものです。支えられる者が強ければ強いほど」
強い者は、守ろうとする。自分が守らねば一体誰が守るというのかと。自分しかいないからだ。守れるのが。守るために犠牲になる。失いたくないから。
一人でなど生きられないから。支えようとして者は、どうしたら休ませることが出来るか悩む。そして守られる側であることを悔やむ。そして―――――ー。
フォルネウスが何か言おうとするまえに、私は「ラッセルのもとに行きますね」と退出する。
―――せっかくの美人が台なしよ
そんな声が聞こえた気がした。
* * *
「やあミスラ」
「相変わらず貴方はふらふらとほっつき歩いているとか耳にしますよ、ええ。私の後輩にあたるキースをあまり虐めないでくれないか」
「いやまさかそんな。虐めてないですよ。ほら、キースってばそういう感じですしねえ」
「……相変わらずだなおまえさん達は」