とある神官の話







 神官と話しているゼノンが見える。たたこうして見ているだけなら、ストーカー予備軍には見えない。

 見た目はいいのにな。








「どうやって捕まえたんだい?」

「つ、捕まえたって」

「おや、シエナの彼氏じゃないのかい」

「違います!断じて違います!」







 誰があんなストーカー予備軍を彼氏にするか!

 即否定した私に、驚いたように子供達や神官がこちらを見た。どうやら大きな声が出たらしい。神官の中の一人、ゼノンはふっと笑うと再び神官と話し始めたのでほっとした。









「いいじゃないか。親しそうだし」

「ブエナさん!」







 まるで恋ばなに花を咲かせる同僚みたいだ。

 私としては複雑なのだ。

 モテた試しがない私が、言い寄られる(?)だなんて珍し過ぎる。同僚がいう「モテ期」でもきたのか。いやいやまさか。モテ期になると色んな人から言い寄られたり……するそうだが、残念無念。私は"あの"ゼノン・エルドレイスしか言い寄られたことはない。
 あれ、ちょっと落ち込む。





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