とある神官の話




 人懐こい笑みだった。ゼノンやハイネンとは別な、いかにも男らしい顔だった。
 驚いた私に、丁度戻ってきたハイネンが「おや、楽しそうですね」と言った。

 ノーリッシュブルグ行きの列車の指定席。向かいにラッセルとハイネン。




「―――――それで、何故ノーリッシュブルグに?」




 詳しくは告げられずに来ることとなったのだが。
 ハイネンは長い足を組んだまま、片手のコーヒーを揺らす。ラッセルは頬杖をついていた「嫌な予感といいますか」

 苦笑まじりにそう言ったハイネンを。嫌な予感とは何だろうか。
 私の疑問はまず嫌な話しから始まった。




「前に禁書が盗まれた事件があっただろう?」

「ええ」

「それを使ったやつが出たんだ。ノーリッシュブルグでな」





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