とある神官の話
―――――名前はなんと?
優秀なエリート、若き高位神官で、かつファンクラブまであるゼノン・エルドレイス。誰がそんな人と、ただの神官である私が関わることになろうとは思っただろう。おかげでファンクラブの人からは睨まれ、散々だ。
"あの"ゼノンに付き纏われたおかげで、得たものもある。ランジットと知り合いになったし、ヨウカハイネンともだ。それから大きな事件の影。それは――――怖い。死人が出たのだから。
―――――私は。
暗い気持ちを振り払うように荷物を整理すれば、鞄のポケットに目がいく。そういえばとそこから取り出したのは封筒。シンプルだが、無地ではない。雪の結晶が控えめに描かれている。
朝早く孤児院を出る時、ブエナから貰ったのだ。ブエナだと思っていたのだが、と封を切った便箋の終わりの名を見てああと。ゼノン・エルドレイス。
風邪引きのくせに。字はやや走り書きのようだった。
「馬鹿じゃないの」
心配。
とにかく無事でと。彼らしいのは最後にはやはり赤面ものの言葉。手紙から、あのレスティとは知り合いらしい。
私だけ新参者みたい。