とある神官の話






「溜息しか出ないな」




 頭が痛い問題だ。

 それに、と思う。
 "異能持ち"の中でも希少な"魔術師"。神官でもほんの数人しかいない。その一人がシエナでもある。そう。シエナが。
 父の耳に入るのは仕方ない。だがひっかかる。
 どうした、というランジットに私は「いや」と言葉を逃がす。




「なあランジット」

「何だよ」

「もし、何かあったらシエナさんのことを」

「あータンマタンマ」




 髪を掻きむしるような仕種をしたランジットは、口をひん曲げる。こんな顔をしているランジットは久しぶりな気がした。

 怒っているのか?

 だが、意外にもランジットは控えめに笑った。




「んなこと言うなや。不吉だべやな」

「………」



 久しぶりに聞いたランジットの訛りに、我ながらほっとした。




「まあ何かあったら俺だって守るつもりではいるけどよ。おめえが守んなきゃ意味ねぇだろうが。んだべ?」

「ああ。だからこそ」

「わがってるって。こんな時期だしな」






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