とある神官の話






 わかっている。
 だからこそランジットに頼んだ。ランジットもわかっている。だからこそ。

 不安だった。失うことが。

 我ながら情緒不安定か。風邪をひいているからと己を納得させる。私は違う。私は。




「"もしも"というだけですよ。私はみすみす殺される予定はありません」

「だろうな」






 お前簡単に死ななそうだし。

 笑うランジットに私も私自身をそう感じていた。人なのだから必ずは死ぬ。当たり前のことだが、私が死ぬ予定はまだ先にしたい。

 そう。出来れば結婚して隣にはあの人がいて、子供がいて。父にも何かしてやらなくてはと、まだやることがある「ったく」



「風邪引くと弱るのか変人さが増すのかわからないなお前」

「失礼ですね」




 咳込む私。

 風邪はまだ治らない。治ったらまた仕事に追われることになるだろう。ただでさえジャンネスは臨時副局長となっているのだから。

 楽ではない、か。




「よし、そろそろ行くわ」




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