とある神官の話
聖都であった事件のときだって。孤児院にだって、忙しいのにたびたび顔を見せているという。
私の前に唐突もなく現れるのが、ゼノン・エルドレイスだった。だから、ストーカー予備軍だと思っていたのは今もあまり変わらない。けど、彼はやはり、神官なのだ。頼りになる、神官なのだ。
隣を見たら、ゼノンが笑っていた。
「シエナさんが言うなら、尚更頑張れます」
祭日が終わったら改めてデートなんてどうです?と笑う彼に、私は頭痛を覚えた。やはりこの人は……。
いきなり大股で数足歩いた私に、きょとんとして取り残されるゼノン。私は振り返る。
「気が向いたらいいですよ」
言い逃げをするように私は、ゼノンに構わず戻っていく。だからだろう。口許を手の平で覆い隠し「これは進歩、ですね」と漏らしていたのを私は知らない。
* * *