とある神官の話
「"雪の思い出"」
さらっと告げた言葉に、私はそのネックレスを見遣る「それは」
「ハリベヌス一世がミゼレット王妃のためにデザインしたと言われる中の一つですよ」
改めてそれを見る。
今流行りの派手さはない。シンプル。控えめなそれは、王の求婚を断ったミゼレットらしいのかもしれない。
なんだか、な。
物知りだなと思いながら、もしかしてこれ高いんじゃ……と思うと、ああお返しはどうしよう!と悩むわけで。お礼、いやいやいや待て。私のお給料じゃ難しい。
あれこれ悩む私に、ハイネンが口を開く。
「何か不安でも?」
「……いえ。私何かが貰ってもいいのかなって」
「貰えるものは貰っておくべきですよ。女性は男に貢がせてナンボですから」
いや待って下さいハイネンさん。
正装姿でさらっと変なことを言わないで下さい、と私は言う。