とある神官の話
* * *
「こりゃひでぇ……」
通報を受けて来てみれば、それは明らかに頭のイカレた奴の仕業だ、とヨハン・ムブラスキは口に出す。
住宅の一つ、そこに訪れた友人が発見したのは、赤色。切断された身体が転がる。一家まるこど殺害されていたのだ。
「台所には料理があって、しかも食べたらしい」
「おいおい。どんな奴だよ……」
よりによってこの時期に。ヨハン・ムブラスキと同じ顔を持った、双子の弟であるレスティが頭を悩ませた。
今日から三日間、祭日となっている。世の中では家族や恋人たちが過ごしているであろう日だというのに。こんな物騒な事件が起こるだなんて。レスティは遺体を運ばせていく「兄さん」
「どうした」
レスティは「ちょっと」と家の外へと促す。
「先程報告がありました。他にも数件あったようです」
「同じ犯人か?」
「恐らく。ただ」
「ただ?なんだよ」