とある神官の話


 以前ゼノンに聞かれた。何故彼女なのか。
 会ったことはない。顔は資料くらいでしか知らない。だが、"あの"息子が追いかけ回しているというのは興味深い。
 だが、不安要素でもあるのだ。ゼノンには悪いが……。




「一介の神官がリリエフと対決したって、やるよな。写真で見た彼女は大人しいんだが」

「良い人ですよ。まあ私も少ししか話したことはありませんが」




 柔らかく微笑むエドガーに、エドゥアール二世はふむ、と思考を巡らす。
 本当に、興味深い。
 彼女自身、身寄りはない。能力が認められ、こちらで神官となった。孤児院に出入りしているという、シエナ・フィンデル。

 それは人としてと、別件と。また来年も忙しくなりそうだ。何はともあれ、今年も終わる。


 ―――――どう出るか。


 何か企んでませんか、というエドガーにエドゥアール二世は笑う。




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