とある神官の話
装飾のされた扉の向こう―――――そこは貴賓室のような豪華さ。いや、宮殿自体どこも豪華なので何ともいえない。
だが、それよりも私の体強張らせたのは、その部屋だとかいうものではなく。もちろん高そうだなあとは思ったけど、そうじゃない。
「お、来たか」
いつも大きな祭事をさいにはその人が出ていて。近くでは見たことがないが、顔は見たことがあった。ここにいる神官で知らない者はいないだろう。
―――現教皇、エドゥアール二世。
慌てて姿勢を正したが、本人は「あー、楽にしてくれ」と間延びした声。
エドゥアール二世といえば、過去にはあのアガレスの件の混乱を収めたりした――切れ者。
しかもその容貌は若々しく、密かに人気だとかなんとか。
近くに、と軽い感じて手招きする男に私は跳ねたように歩き出す。それはそうだろう。教皇が前にいるのだ。何故。
知るか!
「あ、あの」
「とりあえず自己紹介な。本名フォルネウス。ぴっちぴちの中年だ。性格はその、あれだ、まあ、いい奴だぞ?」
……誰ですかこの人。