とある神官の話




 ―――"彼女"、似てるんじゃない?



 ヤヒアは私を覚えていた。そして、外へと出たとき、リリエフにそう言った。あれは何だったのか。
 私にはその意味がわからない。彼女って?リリエフ以外の人なのだろう。わからない。
 そのことを私は話した。成る程な、と一言だけ。




「なあ、フィンデル神官」

「は、はい」

「これは教皇として言う。―――君の出生、幼少期のことは知っている」




 堪えろ。
 わかっている。私が、"普通じゃない"ということくらい。わかっている。それは今でも思い出すほどに。

 それは、そう。あのゼノンさえ知らないことだ。私のことは"普通じゃない"から、上が隠していると聞いている。




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