とある神官の話
「悪かったな。いきなり呼んで」
「全くです」
「何でお前が頷くんだよ」
行きましょう、と私を引きずるハイネンに私は「し、つれいしました!」と慌てて発した。
じゃあまたな、と背後で聞こえた気がするが確かめようがない「あの」
ああすみません、と苦笑するハイネン。だがそれもすぐ顔色を変える。何だろう。そう思う私に「いいですか。全部私に任せて下さい」と言う。視線は前。
前からは枢機卿示す衣。中年よりもやや上に見える年齢だろうか「これはこれは」
「シュトルハウゼン神官ではないか。今回は帰還が早かったようで」
「ええ。ヒーセル枢機卿もご機嫌麗しくてなによりです」
「それで?そちらにいるのは……フィンデル神官と見るが。用事が済んだなら私らに引き渡して貰えるか」
ヒーセル枢機卿が、私を?
枢機卿からの言葉にハイネンは譲らず「許可は?」と続けた。許可ってロマノフ局長からということだろうか?