とある神官の話



 雪の道を進み、見慣れた建物にようやくほっと息をはく。年末年始は聖都でゆっくり出来るのは確かだ。ブエナに顔を見せれば「本っ当、心配したんだからね!」と熱い抱擁を受けた。

 抱擁のあとは、子供たちにもみくちゃにされてへろへろとなった。仕方ない。ただ、その疲労は心地好くもあった。




「少し、表情が変わったんじゃない」

「えっ」




 テーブルにぐでっと半身を任せた私に、ブエナがそう口にした。目の前にはココアがおかれ、甘い匂いが漂う。
 変わったかそうでないかなんて、わからない。ただ、言われたからにはそうなのかもしれない。

 私には、なんとも。

 どうかしたのかい、と言われて私は首をふる。
 外では子供たちの声がした。子供は元気でいいな、だなんてぼんやりと思う。私があのくらいのころは―――――。





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