とある神官の話



「顔がにやけてる」

「失礼な。貴方こそあれでしょう、クロフォード神官とはどうなんですか」

「……煩い」



 わかりやすいなお前、と追い打ちをかけるランジットの声にキッと睨む顔。用事は済んだから戻れ、と追い払われるように出ると、あーとランジットが頭をかく。

 何だ、と言う前にそれを見つけた。女子の群れ。あれさ、お前のじゃねというランジットに私は表情がひきつるのがわかる。戻ってきてからはずっとこれだ。
 予定変更だ。

 どうするか。
 相手にしたくない。めんどくさい。こちらに何人かが気づいたようで、ああもう!と思う。




「ランジット。戻るぞ」

「あ?あれお前孤児院に行くって」

「笑いながら言うな」




 ああ、シエナさん!

 ノーリッシュブルグでの、あの"デート"が思い出される。「またにやけてるぞ」と言うランジットをどついてやる。

 ――――さて。
 やることが増えた。

 その"ひっかかり"は、はたして良い結果を生むのかはわからない。



  * * *



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