とある神官の話
「ここは不平等なことばかりだと思わないかい?」
「それか普通ではないでしょうか」
「認めてしまえばね。ただ、そんな中でも生まれもって、既に選ばれた人っているだろう」
「何が言いたいんですか」
まさかな。
"それ"をこいつが知っているとでも?まさか。ありえない。
苛立つのを隠しながら、俺は歩みを止めた。少し前を歩いていたヤヒアが止まる。
彼は、悪魔だ。
あのアガレスも恐ろしいが、こいつも、何を考えているのかわからない。
「良いことを、教えてあげよう――――」
それは、俺の思考を停止させるだけのものだった。耳元で囁くように届いた言葉。ああ、何故。何故。
満足げに嗤ったヤヒアは、「じゃあまたね」と消える。何故、お前が知っている?何故。何故!
あの子が、生きている?
死んだと思っていた。だって、俺が壊したから。全てを。
違ったのか。俺だけだと思った。俺が救われたと思った。あの子とは違う。俺は優秀だ。優秀なのだ。選ばれるべきなのは俺なのだ。そう、俺!