とある神官の話
「っ―――」
代償は大きかった。
ただ、俺は勝った、と思った。炎に包まれたあの場所を見て、俺は確かに、俺を得られたと思った。あの子ではなく、俺が。
あの子が、嫌いだった。
名前を持つ、彼女が。
壁を眺めながら「大嫌いだ」と口にだす。大嫌いだ。俺は、お前が、大嫌いだ。
――――シエナ。
俺はお前が、憎い。
侵入者だ。
いい材料となってくれるだろう、と命じられるがまま俺は足を運ぶ。俺にはもう居場所はない。普通じゃないから、俺はここしかない。
愛されたい。必要とされたい。
なら動け。糧となれ、ルゼウス。そうだ、良いぞ。さすがだルゼウス。お前は選ばれたのだ。見るがいい。お前は最高傑作だ。他は話しにならん。
城壁から出た外は、山。まわりが自然だらけだからこそ、この城壁は不自然さが増す。
ああ、あれか。
小隊といえる人数だが、報告だとあれだけらしい。
「さようなら」
俺は俺だ。
お前が、シエナが生きているなら、俺は彼女を殺すだけ。
* * *