とある神官の話



「お前ら向こうへ行け!逃がすな!」

「ここから出すな!」



 村の人がたくさん倒れていた。地面には気持ち悪い色の、円の形をした模様。ぐにゃぐにゃとした文字。気持ち悪い。私はその色が、赤く見えて怖くなった。引っ張られるような気がしたからだ。
 鋭く命じた男は、軽く腕を振るう。それだけで魔物が吹き飛び、または浄化されていく。

 目が、合った。

 炎が舞う中で、私はじっと見た。逃げようか、どうしようか。



「生存者か」

「いい。お前らは他をやれ」

「しかし危険では」

「行け」



 男が一歩ずつ近寄ってくる。ようやくはっきりと見えた顔は、若い。化け物と罵る若者と同じに見えた。





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